2026年10月8日 ・ 読了目安 7 分
出生後休業支援給付金とは?13%上乗せで手取り10割になる要件・対象期間・申請期限を解説
出生後休業支援給付金は、2025年4月に創設された雇用保険の給付で、育児休業給付金(または出生時育児休業給付金)に13%を上乗せし、最大28日間は給付率を合計80%(手取り10割相当)にする制度です。支給の条件は、被保険者本人が対象期間内に通算14日以上の育休を取ること、そして配偶者も14日以上の育休を取ること(取れない事情がある場合は免除)の2点が柱です。申請は育児休業給付金と同じ申請書にまとめて行います。
出生後休業支援給付金とは(要点の一覧)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設 | 2025年(令和7年)4月1日 |
| 性格 | 出生時育児休業給付金または育児休業給付金に上乗せして支給される給付金 |
| 給付率 | 13%(育児休業給付金67%と合わせて80%=手取り10割相当) |
| 支給される日数 | 最大28日分(同じ子について支給済みの日数は差し引く) |
| 本人の取得日数 | 対象期間内に通算14日以上の育休(給付金が支給される休業であること) |
| 配偶者の要件 | 配偶者も14日以上の育休を取得。ただし一定の事情があれば取得不要 |
| 提出先 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク(電子申請も可) |
「手取り10割相当」とされる理由は、育休中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が出なければ雇用保険料の負担もなく、育児休業等給付が非課税であるためです。休業開始時賃金日額の80%が、手取りとほぼ同額になるという考え方です (厚生労働省リーフレットの注記による)。なお、休業開始時賃金日額には上限額があります。
出生後休業支援給付金の支給要件(3つ)
- 本人が対象期間内に通算14日以上の育休を取る:同じ子について、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業が対象です。産後パパ育休(出生時育児休業)と育児休業の日数は通算できます。たとえば産後パパ育休を12日だけ取った場合は要件を満たさず、不支給になる例がリーフレットに示されています。
- 休業開始日前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上ある:賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上、という育児休業給付金と同じ要件です。
- 配偶者も14日以上の育休を取る(または配偶者要件が免除される):配偶者が「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの間に通算14日以上の育休を取ることが原則です。
根拠は雇用保険法第61条の10です。第1項で上記3つの要件、第2項で配偶者要件を課さない場合、第6項で「休業開始時賃金日額×日数(28日が上限)×13%」という計算が定められています (e-Gov法令検索で条文を確認)。
対象期間はいつからいつまでか
14日以上の育休を取る必要があるのは「対象期間」の中です。対象期間の終わりは、産後休業を取るかどうかで変わります。
| 立場 | 対象期間の終わり | 例(予定日10/1・出生日10/5) |
|---|---|---|
| 産後休業を取っていない人(父親・養子の場合) | 子の出生日(出産予定日より遅い場合は予定日)から8週間を経過する日の翌日 | 11/30 |
| 産後休業を取った人(母親) | 同じく16週間を経過する日の翌日 | 1/25 |
対象期間の始まりは「子の出生日または出産予定日のうち早い日」です。例の日付は、厚生労働省リーフレットに掲載された例1・例3 (出産予定日10/1・出生日10/5) の日付をそのまま引いています。
支給額の計算と上限
支給額は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%」です。休業開始時賃金日額とは、休業開始前6か月間の賃金(臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとの賃金を除く)の総額を180で割った額です。リーフレットの計算例は次のとおりです。
| ケース | 出生後休業支援給付金の額 |
|---|---|
| 賃金日額10,000円・28日取得 | 10,000円×28日×13%=36,400円 |
| 賃金日額10,000円・14日取得 | 10,000円×14日×13%=18,200円 |
| 上限(賃金日額の上限16,540円・28日) | 16,540円×28日×13%=60,205円(令和9年7月31日までの額) |
| 下限(28日) | 11,658円(同上) |
賃金日額の上限・下限は毎年8月1日に改定されるため、顧問先に金額を伝えるときは最新のリーフレットで確認してください。上の上限・下限は2026年8月1日改訂版に記載された「令和9年7月31日までの額」です。
休業中に事業主から賃金が支払われた場合の扱いも要点です。支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下なら、育児休業給付金も出生後休業支援給付金も減額されません。賃金が支払われて育児休業給付金が減額される場合でも、出生後休業支援給付金は減額されません。ただし、賃金が80%以上となって育児休業給付金が不支給になると、出生後休業支援給付金も支給されません。
配偶者が育休を取らなくても対象になるケース
次の1〜7のいずれかに子の出生日の翌日時点で当てはまれば、配偶者が育休を取っていなくても配偶者要件を満たします (厚生労働省リーフレット記載)。
- 配偶者がいない(行方不明の場合は、勤務先で3か月以上無断欠勤が続いている場合または災害で行方不明の場合に限る)
- 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
- 被保険者が配偶者から暴力を受けて別居中
- 配偶者が無業者
- 配偶者が自営業者・フリーランスなど雇用される労働者ではない
- 配偶者が産後休業中
- 上記以外の理由で、配偶者が給付金の対象となる育休を取ることができない(申告書で申告)
父親が被保険者で子が養子でない場合、配偶者(母)は出生日の翌日時点で産後休業中のことが多いため、主に「配偶者が産後休業中」「無業者」「自営業者・フリーランス」のいずれかで要件を満たします。この場合は母子健康手帳(出生届出済証明のページ)または医師の診断書(分娩予定日証明書)を添えます。
申請方法と期限
出生後休業支援給付金は、育児休業給付金などと同じ書類に記入して一体で申請するのが基本です。期限は申請の組み合わせで変わります。
| 申請の形 | 申請できる日 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金(産後パパ育休)と一体 | 子の出生日(予定日前に出生した場合は予定日)から8週間を経過する日の翌日。休業が28日に達した場合は達した日の翌日、2回目の休業をした場合は終了日の翌日 | 申請できる日から2か月を経過する日の属する月の末日 |
| 育児休業給付金の初回申請と一体 | 初回の支給申請と同時に提出 | 育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日(例:7月10日開始なら11月30日) |
| 出生後休業支援給付金だけを単独で申請 | 元の給付金の支給決定後 | 育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日 |
初回申請の時点では元の給付金の要件だけを満たしていて、後日、出生後休業支援給付金の要件を満たした場合は、要件を満たした日から10日以内に支給申請書を提出する扱いです。提出先は事業所の所在地を管轄するハローワークで、電子申請も利用できます。
顧問先に確認しておきたいこと
- 配偶者の勤務形態と育休予定日:配偶者も雇用保険の被保険者なら、配偶者の給付金の支給決定が確認材料になります。自営業・無業・産後休業中なら要件が免除されるため、取得日数の調整は本人分だけで足ります。
- 14日に届く日数になっているか:産後パパ育休と育休を合わせて14日以上が必要です。13日以下の計画だと上乗せがなくなります。
- 休業中の就業・賃金の扱い:産後パパ育休は28日の休業で就業は最大10日(10日を超える場合は80時間)までです。就業が多いと出生時育児休業給付金が不支給になり、出生後休業支援給付金も支給されません。
- 申請期限の起算日:産後パパ育休と育休では期限の起算が違うため、どちらの給付金と一体で申請するかを先に決めておく必要があります。
よくある質問
Q. 28日分を超えて育休を取った場合、上乗せはどうなりますか?
A. 出生後休業支援給付金の対象は最大28日分で、それを超える日数分は育児休業給付金(67%、181日目以降は50%)のみです。
Q. 育児休業給付金の初回申請と別に出生後休業支援給付金の申請書が必要ですか?
A. 初回申請時に同じ申請書で一体的に申請できます。初回時点で要件を満たしていなかった場合に限り、後日、支給申請書を単独で提出します。
Q. 2025年3月以前から育休を取っている場合は対象ですか?
A. 2025年4月1日より前から引き続いて育休を取っている場合は、2025年4月1日以後の日数が14日以上あることが要件の確認対象になります (リーフレット記載)。
コモカンでの管理
コモカンのプリセットには「育児休業(給付金初回申請)」があり、育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日を自動計算し、60/30/14日前の段階アラートで表示します。出生後休業支援給付金を育児休業給付金と一体で申請する場合は、この初回申請の期限がそのまま目安になります。一方、出生後休業支援給付金の専用プリセットや、産後パパ育休(出生時育児休業給付金)の「8週間経過日の翌日から2か月」の期限計算は現時点で用意していないため、該当する案件はメモ欄などで期日を補って管理してください。届出の代行や申請書の作成は行わず、期限の目安を示すサービスです。
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出典・確認日
- ・厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)
- ・厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(出生後休業支援給付金の質問)
- ・厚生労働省「出生後休業支援給付の簡易診断(要件確認)」
- ・e-Gov法令検索「雇用保険法」第61条の10(出生後休業支援給付金)
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