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2026年10月22日 ・ 読了目安 9 分

育児時短就業給付金とは?賃金の10%を支給・要件と計算例・初回申請の期限(4か月以内)と必要書類を解説

育児時短就業給付金は、2歳に満たない子を養育するために1週間当たりの所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者に、賃金が下がった月の給付として支給されます。支給額は原則として、その月に支払われた賃金額の10%です。申請は原則として事業主が、事業所を管轄するハローワークへ行い、初回は最初の支給対象月の初日から4か月以内が期限です。2025年4月1日に創設された給付で、育児休業給付金とは別の手続になります。

本記事は一般的な制度の目安を紹介するものであり、法的助言ではありません。個別の顧問先・個別の従業員の扱いは、必ず厚生労働省の公式情報、または管轄のハローワークでご確認ください。金額の上限・下限は毎年8月1日に改定されます。

育児時短就業給付金の早見表

項目内容
対象者2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者(一般被保険者と高年齢被保険者)
創設2025年4月1日
支給額各支給対象月に支払われた賃金額 × 10%が原則。賃金が時短開始時の90%を超える月は支給率を調整し、100%以上の月は支給されない
支給される期間育児時短就業を開始した日の属する月から、終了した日の属する月まで。子の2歳の誕生日の前々日の属する月までが上限
申請する人・出す先原則は被保険者を雇用する事業主。本人が希望すれば本人も可。事業所を管轄するハローワーク(電子申請も可)
初回の期限最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内
申請の間隔原則として2つの支給対象月について2か月ごと(本人が希望すれば1か月ごとも可)

受給資格と各月の支給要件

受給資格は、次の①②をどちらも満たす被保険者です。そのうえで、育児時短就業中の月ごとに、下の4つの要件をすべて満たす月が支給の対象になります。

区分要件
受給資格①2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること
受給資格②育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同じ子について育児時短就業を開始したこと。または、育児時短就業の開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上)ある完全月が12か月あること
各月の要件1初日から末日まで続けて、被保険者である月
各月の要件21週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
各月の要件3初日から末日まで続けて、育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
各月の要件4高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
  • 「引き続き」の範囲は14日以内:育児休業を終えた日の翌日(復職日)から時短を始める場合のほか、育児休業を終えた日と時短を始めた日の間が14日以内の場合も「引き続き」と扱われます。たとえば3月31日まで育休を取り、4月15日までに同じ子について時短を始めれば該当します(厚労省 Q&A Q59)。
  • 休んでいた期間は2年に足せる:開始日前2年の間に、疾病・負傷・出産・育児などのやむを得ない理由で引き続き30日以上賃金の支払いを受けられなかった期間があれば、その期間を2年に加算できます(合計で最長4年)。過去に基本手当や高年齢受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降の期間に限られます。
  • 転職・再就職は12か月の要件に注意:パートや短時間正社員への転職も、前の職場より週所定労働時間が短ければ育児時短就業と扱われます。ただし被保険者でなかった期間が長いと、開始日前2年間に完全月が12か月そろわず、受給資格を満たさないことがあります(Q61)。

どんな働き方が「育児時短就業」になるか

育児時短就業とは、2歳に満たない子を養育するために、被保険者からの申出に基づいて事業主が講じた、1週間当たりの所定労働時間を短縮する措置です。所定労働日数を変えた結果として週の所定労働時間が短くなる場合も含みます。短縮後の週所定労働時間に上限・下限はなく、育児・介護休業法の短縮措置(1日6時間など)に限られません。

働き方・場面取扱い(厚生労働省)
所定労働時間は変えず、子の送迎などで早退・欠勤して賃金が下がっただけ所定労働時間を短縮していないため対象外(Q67)。シフト制は下の行
フルタイムから短時間正社員・パートへ転換した転換前より週所定労働時間が短ければ育児時短就業(Q60)
フレックスタイム制清算期間の総労働時間を短縮するなら育児時短就業。総労働時間は変えず、フレキシブルタイムの勤務をしない分を欠勤控除するだけなら対象外
変形労働時間制対象期間の総労働時間を短縮するなら育児時短就業。総労働時間を変えないまま、平均を下回る期間(閑散期)が生じるだけなら対象外
裁量労働制みなし労働時間を短縮するなら育児時短就業
シフト制(労働日・労働時間をシフトで初めて確定する形態)実際の労働時間から週平均を出し、短縮が確認できれば育児時短就業(Q63)
派遣労働者育児のために派遣先や派遣契約の変更を派遣元に申し出て認められ、所定労働時間が短くなった場合は対象(Q69)
短縮後の週所定労働時間が20時間を下回る場合は、子が小学校就学の始期に達するまでに週20時間以上の労働条件に復帰する前提が、就業規則などの書面で確認できなければ、雇用保険の被保険者資格を失い、給付の対象になりません。口頭の約束だけでは足りないとされています(Q72)。時短後に週20時間を切りそうな顧問先は、先に書面の整備を確認してください。

支給額の計算(10%と調整の式)

支給額は、「支給対象月に支払われた賃金額」と「育児時短就業開始時賃金月額」を比べて決まります。育児時短就業開始時賃金月額は、原則として時短を始める前の直近6か月(賃金支払基礎日数が11日未満の月は除く)に支払われた賃金(賞与など臨時・3か月を超える期間ごとの賃金を除く)の総額を180で割った額(賃金日額)に30を掛けたものです。育児休業から引き続き時短を始めた場合は、育児休業給付で使った休業開始時賃金日額に30を掛けた額を使います。

支給対象月に支払われた賃金額支給額
開始時賃金月額の90%以下支払われた賃金額 × 10%
開始時賃金月額の90%超〜100%未満支払われた賃金額 × 調整後の支給率(賃金と支給額の合計が開始時賃金月額を超えないようにする)
賃金と支給額の合計が支給限度額を超える支給限度額 − 支払われた賃金額
開始時賃金月額の100%以上支給されない(賃金が減っていないとみなす)

90%超〜100%未満の月の支給率は、賃金率(支払われた賃金額 ÷ 開始時賃金月額 × 100)をXとして「9,000 ÷ X − 90」で求めます。賃金率と支給率は小数点以下第3位を四捨五入して小数第2位まで、支給額は小数点以下を切り捨てます。厚生労働省の早見表では、賃金率99.00%で支給率0.91%、95.00%で4.74%、92.00%で7.83%、90.00%で10.00%です。

例計算支給額
開始時賃金月額300,000円・支払われた賃金200,000円200,000円は90%(270,000円)以下なので 200,000円 × 10%20,000円
開始時賃金月額300,000円・支払われた賃金280,000円賃金率93.33%。9,000 ÷ 93.33 − 90 = 6.43%(四捨五入)→ 280,000円 × 6.43%18,004円
開始時賃金月額496,200円(上限)・支払われた賃金445,000円445,000円 × 10% = 44,500円だが、合計489,500円が支給限度額484,121円を超えるため 484,121円 − 445,000円39,121円

上の3例は厚生労働省のリーフレット(6頁)の例です。賃金額が低すぎても高すぎても支給されない月があります。次の3つのどれかに当たる月は不支給です。

不支給になる場合金額(2027年7月31日までの額)
支払われた賃金額が開始時賃金月額の100%以上—
支払われた賃金額が支給限度額以上484,121円以上
算定した支給額が最低限度額以下2,562円以下
  • 育児時短就業開始時賃金月額には上限496,200円・下限96,090円があります(賃金日額の上限16,540円・下限3,203円に30を掛けた額)。いずれも2027年7月31日までの額で、毎月勤労統計の平均定期給与額により毎年8月1日に改定されます。
  • 「支払われた賃金額」は、賃金の対象期間ではなく、支給対象月の中に実際に支払われた賃金です。1か月だけ時短をして、低下後の賃金が翌月に払われる場合、その月は賃金が払われていないため支給されません(Q76)。
  • 臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みません。通勤手当を数か月分まとめて払う場合は、支払われた月以後の月に1か月分ずつ割り振って計上します(80,000円を5月に6か月分支払った例では、5月〜9月に13,333円、10月に13,335円。Q90)。
  • 高年齢雇用継続給付にある「みなし賃金額」の考え方は育児時短就業給付金にはなく、欠勤や遅刻の補正は不要です(Q89)。

申請手続の流れ(4つの手続と期限)

支給を受けるには、事業主による「育児時短就業開始時賃金の届出」「受給資格確認」「支給申請」が必要です。受給資格確認と初回の支給申請は同時に行うこともできます。育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き時短を始めた場合は、手続①は不要です。

手続様式(主なもの)期限
① 育児時短就業開始時賃金の届出雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書初回の支給申請まで(初回の支給申請と同時でも可)。育休から引き続き時短を始めた場合は不要
② 受給資格確認育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書初回の支給申請まで(初回の支給申請と同時でも可)
③ 初回の支給申請上の確認票・(初回)支給申請書。受給資格確認のみ先に行った場合は、交付される育児時短就業給付金支給申請書最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内
④ 2回目以降の支給申請育児時短就業給付金支給申請書ハローワークが交付する「次回支給申請日指定通知書」で指定。次回の支給対象月の初日から起算して4か月以内
例申請に含める先頭の支給対象月提出期限
時短を7月10日に開始(初回申請を同時に行う場合)7月10月31日まで
4月21日に時短を開始、4月・5月分を申請4月7月31日まで
6月・7月分の2回目の申請6月9月30日まで
9月・10月分の申請9月12月31日まで

上の4例は厚生労働省のリーフレット(8〜10頁)の例です。支給決定から口座に振り込まれるまでは約1週間とされています。

申請に添える書類(初回と2回目以降)

申請添付書類確認できること
初回(①②③)賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書、育児短時間勤務申出書、育児短時間勤務取扱通知書、就業規則など育児時短就業を開始した日、賃金の額と支払状況、週所定労働時間(開始前・開始後のそれぞれ)
初回(①②③)母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、住民票、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など。写し可育児の事実、出産予定日、出生日。同じ子について育児休業給付を受けていた場合は不要
2回目以降(④)賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書、育児短時間勤務申出書、育児短時間勤務取扱通知書など支給対象月の賃金の額と支払状況、時短中の週所定労働時間。前回から週所定労働時間が変わっていなければ、週所定労働時間を確認する書類は省略可
  • 短縮後の週所定労働時間が20時間を下回る場合は、就業規則などの、子が小学校就学の始期に達するまでに週20時間以上へ復帰する前提を確認できる書類が必要です。
  • 時短の開始日や週所定労働時間を確認できる書面を作っていない場合は、厚生労働省が公開している「育児時短就業期間等に係る証明書」を提出します(Q86)。
  • 事業所の所定労働時間の引き下げなどで、本人に適用される本来の週所定労働時間が変わった場合は、支給申請書の該当欄に記載し、就業規則など変更後の本来の週所定労働時間を確認できる書類を添えます。
  • 受給資格確認票・(初回)支給申請書には個人番号(マイナンバー)を記載して提出します。払渡希望の口座は、以前に雇用保険の給付を受けた口座や、ハローワークに個人番号を届け出ている場合はマイナポータルの公金受取口座も使えます。

いつまで支給されるか(終了のしかた)

支給は月ごとに判定され、育児時短就業を終えた日の属する月までです。ただし、次のどれかに当たると、その時点で終わります。

終了する事由支給の対象になる最後の月(厚生労働省リーフレット)
子が2歳に達する2歳の誕生日の前々日の属する月まで。たとえば2歳の誕生日が6月1日なら、前々日は5月30日で、末月は5月(本記事の当てはめ)
月の途中で離職し、被保険者でなくなる前の月まで。月末日に離職した場合は、離職した月も対象
産前産後休業・育児休業・介護休業を開始する開始した日の前日の属する月まで
別の子を養育するために育児時短就業を開始する別の子の時短を始めた月からは、その別の子の支給対象月になる(Q65の例)
子の死亡など、子を養育しなくなる養育しなくなった日の属する月まで
高年齢雇用継続給付の受給対象になる前の月まで(高年齢雇用継続給付を受けた月は育児時短就業給付金を受けられない)
厚生労働省のQ&A(Q64)の一覧では、産前産後休業などの開始や別の子の時短開始について「開始日の属する月まで」と簡略に書かれています。本記事の表はリーフレットとQ65の例に合わせました。月をまたぐ境目のケースは、管轄のハローワークで確認してください。

顧問先に確認しておきたいこと

  • 時短の開始日と、短縮後の週所定労働時間。育児短時間勤務申出書・取扱通知書・変更後の労働条件通知書など、開始日と時間数を示す書面があるか。
  • 時短をしない場合に本人へ適用される本来の週所定労働時間。フレックスタイム制・変形労働時間制・裁量労働制・シフト制は、厚生労働省が示す計算方法があります。
  • 短縮後が週20時間を下回る場合、小学校就学の始期までに週20時間以上へ復帰する前提を、就業規則などの書面で示せるか。
  • 育児休業から引き続き時短を始めるのか(14日以内か)。引き続きなら手続①は不要で、先に育児休業給付の手続を済ませる。
  • 賃金の締め日と支払日。給付の判定は、支給対象月に実際に支払われた賃金で行う。通勤手当などを数か月分まとめて払っていないか。
  • 初回の申請期限(最初の支給対象月の初日から4か月以内)の起算日を、時短の開始月から数えて管理できているか。
  • 本人のマイナンバーと払渡先の口座の扱い(以前の給付の口座、公金受取口座、通帳の写しなど)。

上の7点は、公式資料の要件を顧問先で点検するための実務上の目安であり、法令が求める書類リストではありません。

よくある質問

Q. 育児休業給付金と同じ月にもらえますか?
A. 各月の要件に「初日から末日まで続けて、育児休業給付または介護休業給付を受給していない月」があります。月の途中で育児休業から復帰して時短を始めた場合、その復帰した月は対象になりえます(リーフレットの例4は4月21日に復帰と同時に時短を始め、4月が最初の支給対象月)。育児休業から引き続き時短を始める場合は、先に育児休業給付の手続を行います。

Q. 申請は本人でもできますか?
A. 原則は被保険者を雇用する事業主が行います。本人が希望すれば、受給資格確認と支給申請は本人も行えます。ただし育児時短就業開始時賃金の届出は、事業主が行う必要があります。

Q. 育児休業を取らずに、産後休業のあと時短で復帰した場合は対象ですか?
A. 原則として、時短の開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月あるなどの要件を満たせば対象です(Q70)。

Q. 時短を終えて元の時間に戻り、また時短にする場合は?
A. 育児時短就業給付金の対象となる時短就業に回数の制限はありません。同じ子について再び時短を始めたときは、育児時短就業開始時賃金の届出と受給資格確認は不要で、支給を受けようとする月の初日から4か月以内に、支給申請書と添付書類を出します。開始時賃金月額は前回と同じ額を使います(リーフレット14頁・Q92)。なお、育児休業給付の対象になる育児休業には取得回数の上限があります。

Q. 2025年4月より前から時短で働いている人は?
A. 2025年4月1日を時短の開始日とみなして受給資格と各月の要件を満たせば、2025年4月以降の各月が支給対象です。ただし、支給対象月の賃金が、その日を開始日として算定した開始時賃金月額より下がっていない月は支給されません(リーフレット15頁)。

Q. 電子申請はできますか?
A. e-Govから電子申請できます。開始時賃金の届出のみ、届出・受給資格確認・初回申請、2回目以降の申請で、利用する手続が分かれています。資本金などが1億円を超える法人などの特定法人は、育児時短就業給付の支給申請も電子申請が義務化されています。

コモカンでの管理

コモカンは届出や手続きの期限を管理するサービスで、届出の代行やハローワークへの提出は行いません。「育児時短就業給付金」という名前のプリセットは、現時点ではありません。カスタム手続きとして追加し、期限日には「最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内」の末日(時短を7月10日に始めたなら10月31日)を入れてください。期限日に対して60/30/14日前の段階アラートが表示されます。

2回目以降の申請期間はハローワークの「次回支給申請日指定通知書」で指定されるため、通知書を受け取るたびに次の期限を入れ直す運用になります。必要書類の枠に「育児短時間勤務申出書」「労働条件通知書」「賃金台帳」などを追加すると、顧問先が画像やPDFで送れます。マイナンバーを預かる機能はないため、個人番号を記載する申請書はコモカンに載せず、別の方法で扱ってください。

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出典・確認日

本記事の他社サービスに関する記述は 2026-10-22 時点で公開されている情報に基づきます。料金・仕様は変更される場合がありますので、最新の内容は各社の公式サイトでご確認ください。

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