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2026年10月4日 ・ 読了目安 7 分

出産手当金とは?支給期間(産前42日・産後56日)・支給額の計算式・傷病手当金との違い

出産手当金は、健康保険の被保険者本人が出産のため会社を休み、その間に給与を受けられないときに支給される給付です。支給期間は出産日以前42日(双子など多胎妊娠は98日)から出産日の翌日以後56日までの範囲で、実際に休んで給与の支払いがなかった日が対象です。1日あたりの額は「支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均÷30日×2/3」で、申請先は加入している協会けんぽの支部(健康保険組合の場合は組合)です。

本記事は協会けんぽ(全国健康保険協会)の制度を前提にした一般的な目安であり、法的助言ではありません。健康保険組合に加入している事業所は、様式や取り扱いが組合ごとに異なることがあるため、加入先の組合にご確認ください。個別の支給可否・正確な金額は、加入先の保険者の公式情報で確認してください。

出産手当金・出産育児一時金・保険料免除・育児休業給付金の違い

出産前後に顧問先の従業員が受けられる制度は複数あり、窓口も根拠法も別です。「産休の手続き」とひとまとめに聞かれたときに、どの制度の話かを切り分けるための一覧です。

制度何を支える制度か窓口・根拠対象になる人
出産手当金出産のため休んだ間の所得(休業補償)加入先の健康保険(協会けんぽ支部など)健康保険の被保険者本人のみ
出産育児一時金出産にかかる費用の補填。協会けんぽでは1児につき50万円(産科医療補償制度加入機関で在胎週数22週以降の出産)加入先の健康保険被保険者・被扶養者(家族出産育児一時金)
産前産後休業中の保険料免除休業中の健康保険・厚生年金保険の保険料(本人分・会社分)日本年金機構(産前産後休業取得者申出書)産前産後休業を取得した被保険者
育児休業給付金育児休業中の所得(雇用保険)ハローワーク雇用保険の被保険者で育児休業を取得した人

保険料免除の手続きは産前産後休業取得者申出書とは?提出期限と保険料免除の対象期間で、育児休業給付金は育児休業給付金の継続申請とは?で扱っています。出産手当金は、これらとは別に申請が必要な給付です。

出産手当金の対象になる人と条件

協会けんぽのFAQでは、出産手当金は「被保険者のみが対象」とされています。被扶養者として健康保険に入っている家族は対象外です(出産育児一時金は被扶養者の出産でも支給されます)。条文(健康保険法第102条第1項)では、被保険者が出産したときに、出産のため労務に服さなかった期間について支給すると定められています。任意継続被保険者は、第99条の括弧書きで対象から除かれています。

  • 出産の範囲:協会けんぽの説明では、健康保険でいう出産とは妊娠85日(4か月)以後の生産(早産)・死産(流産)・人工妊娠中絶を指します。
  • 休んでいること:支給されるのは「会社を休み、給与の支払いがなかった期間」です。出勤した日は対象になりません。
  • パート・アルバイトの場合:勤務先で健康保険の被保険者になっていれば対象です。判断の軸は雇用形態ではなく、被保険者かどうかです。

支給期間は出産日以前42日から産後56日まで

条文は、出産の日(出産の日が予定日より後のときは出産の予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産の日後56日までの間で、労務に服さなかった期間を支給対象としています。出産日は産前の期間に含まれます。この日数は、労働基準法第65条の産前6週間(多胎14週間)・産後8週間と同じ長さです。

出産のしかた支給の対象期間日数の目安(全日休み・無給の場合)
予定日どおりに出産出産日(含む)以前42日+出産日の翌日以後56日98日
予定日より4日遅れて出産予定日前42日+予定日から出産日までの遅れた4日+産後56日(遅れた期間も対象)102日
双子など多胎妊娠で予定日どおりに出産出産日(含む)以前98日+出産日の翌日以後56日154日

予定日より早く出産した場合も、出産日以前42日の範囲のうち実際に休んだ日が対象です。産前休業に入る前に出産したときは、休業前の出勤日は含まれません。

労働基準法第65条では、産後6週間を過ぎた女性が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就くことは差し支えないとされています。ただし、出産手当金は「労務に服さなかった期間」への給付なので、その業務に就いた日は支給対象になりません。

支給額の計算式(標準報酬月額の平均÷30×2/3)

1日あたりの金額は、協会けんぽのFAQで次の式とされています。支給開始日とは、最初に出産手当金が支給された日のことです。

項目内容
計算式支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3
加入期間が12か月未満のとき次の①②のうち低い方の額を使って計算:①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均 ②全被保険者の標準報酬月額の平均(支給開始日が令和7年4月1日以降は32万円、令和7年3月31日以前は30万円)
端数処理(健康保険法第99条第2項を準用)「平均÷30」は10円単位に四捨五入(5円未満切り捨て・5円以上切り上げ)、「×2/3」は1円単位に四捨五入
協会けんぽ公式の計算例支給開始日が令和8年2月15日、標準報酬月額が16万円×6か月と18万円×6か月の場合:平均17万円 → 17万円÷30≒5,670円 → ×2/3=1日3,780円

上の端数処理を当サイトで当てはめた試算が次の表です(標準報酬月額の平均が一定で、予定日どおりに出産し98日すべて休んで給与がない場合の目安)。実際の金額は、加入先の保険者の決定額によります。

標準報酬月額の平均平均÷30(10円単位)×2/3=1日あたり98日分の目安
20万円6,670円4,447円435,806円
30万円10,000円6,667円653,366円
40万円13,330円8,887円870,926円

給与が出ているとき・傷病手当金との関係

休んだ期間に給与が支払われても、その日額が出産手当金の日額より少なければ、差額が支給されます(健康保険法第108条第2項)。給与の日額のほうが多ければ、その日の出産手当金は支給されません。

ケース扱い出典
休んだ日に有給休暇の賃金を支払った出産手当金の額との差額調整の対象(有給休暇の賃金は「出勤していない日に対して支給した報酬」に当たる)協会けんぽFAQ
通勤手当・扶養手当・住宅手当などを出勤の有無にかかわらず支給している出勤していない日に対する報酬として、調整の対象になる協会けんぽFAQ
残業手当など出勤した日の報酬、見舞金など一時的な支給調整の対象ではないため、申請書への記入は不要協会けんぽFAQ
社会保険適用促進手当など、標準報酬月額の算定に考慮されない報酬出産手当金の調整対象になる報酬には含まれない協会けんぽFAQ
同じ期間に傷病手当金も受けられる状態重複しては受け取れない。傷病手当金の額のほうが多い場合は、その差額が傷病手当金として支給される協会けんぽ「出産手当金」

業務外の傷病で休む場合の給付は傷病手当金とは?労災との違い・待期期間3日・支給額2/3の仕組みにまとめています。算式は同じ「標準報酬月額の平均÷30×2/3」ですが、出産手当金には待期期間がありません。

申請の流れ・証明欄・時効は2年

申請書は「健康保険出産手当金支給申請書」で、協会けんぽの場合は加入している支部に提出します。協会けんぽのFAQには、申請書に事業主の証明欄と医師または助産師の証明欄があること、産前分・産後分と複数回に分けて申請することも可能であることが示されています。

  • 事業主の証明:分割して申請する場合、事業主の証明欄は毎回必要です。出勤状況や給与の支払状況の確認に使うため、賃金台帳・出勤簿が手元にあると記入が進みます。
  • 医師・助産師の証明:1回目の申請が出産後で、証明によって出産日などが確認できたときは、2回目以降の申請書への証明は省略できます。
  • 勤務先の変更や任意継続があった場合:申請期間の初日の属する月までの12か月間に、勤務先の変更等で健康保険の記号番号が変わった場合などは、別の添付書類が必要になります。必要書類は加入先の案内で確認してください。
  • 申請の時効:保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効により消滅します(健康保険法第193条)。出産手当金は休んだ日ごとに権利が発生する給付なので、日ごとに数えると理解するのが一般的ですが、公式ページに起算日の明記はありません。古い分から消えるおそれがあるため、産後休業が終わったらすぐ申請する運用が安全です。

退職する場合は「退職日に出勤しない」が条件(資格喪失後の継続給付)

出産手当金の対象期間の途中で退職しても、次の2点を満たせば、資格喪失後も引き続き出産手当金を受けられます(協会けんぽの説明)。

条件内容
①被保険者期間資格喪失日の前日(退職日)までに、被保険者期間(任意継続被保険者期間を除く)が継続して1年以上ある
②受給の状態被保険者資格を失った日の前日に、出産手当金を受けているか、受けられる状態にある
注意退職日に出勤すると継続給付の条件を満たさず、資格喪失後(退職日の翌日以降)の出産手当金は受けられない

休職(有給休暇を含む)のまま退職した場合は、資格喪失後も引き続き受けられるとされています。退職日のあいさつや引継ぎのために出勤すると、以降の分を受けられなくなるため、退職する従業員への事前の案内が重要です。資格喪失届の期限は資格取得届・資格喪失届とは?で整理しています。

よくある質問

Q. 出産日が予定日より遅れたら、手当金はどうなりますか?
A. 遅れた期間も支給対象です。支給期間は「予定日前42日+予定日から遅れた出産日までの日数+産後56日」になります(協会けんぽFAQ)。

Q. 産前分と産後分をまとめて申請しなければなりませんか?
A. いいえ。産前分・産後分など複数回に分けて申請できます。ただし事業主の証明欄は毎回必要です。

Q. 出産手当金と出産育児一時金は、両方受け取れますか?
A. 別の目的の給付で、それぞれ別に申請します。出産手当金は休んだ間の所得、出産育児一時金は出産費用の補填です(協会けんぽ「出産育児一時金・出産手当金」)。

Q. 出産手当金は産休中の保険料免除と同じ手続きですか?
A. 別の手続きです。保険料免除は日本年金機構への産前産後休業取得者申出書、出産手当金は加入先の健康保険への申請書で、窓口も書類も異なります。

コモカンでの管理

コモカンのプリセットは算定基礎届・労働保険年度更新・賞与支払届・36協定・入社・退社・育児休業給付金の初回申請・労災の8種で、出産手当金は現時点でプリセットに含めていません。届出の代行や作成も行わず、期限の目安を示すサービスです。該当する従業員が出たときは「カスタム手続き」として、手続き名に「出産手当金(○○様・産後分)」のように入れ、期限日に申請の目標日を入れて登録できます。期限が60日・30日・14日以内に迫ると、ログイン時のダッシュボードと期限カレンダーで段階的に表示されます(自動のメール通知はありません)。

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