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2026年10月6日 ・ 読了目安 8 分

育児休業等終了時報酬月額変更届とは?対象条件(1等級差・17日)と4か月目の改定・随時改定との違い

育児休業等終了時報酬月額変更届は、育児休業等を終えて復職した被保険者の報酬が育休前より下がったときに、標準報酬月額(健康保険・厚生年金保険の保険料の基礎になる額)を早く見直すための届出です。育児休業終了日の翌日が属する月から3か月に受けた報酬の平均で、4か月目の標準報酬月額から改定されます。随時改定のような固定的賃金の変動は要らず、等級が1つ変わるだけで対象になりますが、被保険者本人の申出が前提で、事業主が日本年金機構へ提出します。

本記事は日本年金機構の公式案内と条文にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。協会けんぽ・厚生年金保険の届出を前提にしています。健康保険組合に加入している事業所は、様式や提出先が組合ごとに異なることがあるため、加入先の組合にご確認ください。個別の事案の扱いは、管轄の年金事務所の案内に従ってください。

随時改定・産前産後休業終了時改定・育休終了時改定の違い

復職後の標準報酬月額の見直しには、似た名前の手続きが3つあります。「報酬が下がったから月額変更届」と一括りにしてしまうと、固定的賃金の変動がない時短勤務のケースで対象から漏れます。違いを並べると次のとおりです。

比べる点随時改定(月額変更届)産前産後休業終了時改定育児休業等終了時改定
固定的賃金の変動必要(昇給・降給・手当変更など)不要(随時改定に該当しなくても改定できる)不要(同左)
必要な等級差2等級以上1等級以上1等級以上
3か月の起点固定的賃金が変動した月産前産後休業終了日の翌日が属する月育児休業等終了日の翌日が属する月
支払基礎日数17日3か月とも17日以上3か月のうち少なくとも1か月が17日以上(17日未満の月は平均から除く)3か月のうち少なくとも1か月が17日以上(17日未満の月は平均から除く)
本人の申出不要(事業主の届出)必要(申出を受けた事業主が届出)必要(申出を受けた事業主が届出)
子の条件なし休業に係る子を養育していること休業等に係る3歳未満の子を養育していること
提出時期速やかに速やかに速やかに

随時改定の3要件は月額変更届(随時改定)とは?対象になる3つの要件と提出期限で、産前産後休業に入る時点の保険料免除は産前産後休業取得者申出書とは?で扱っています。育児休業中の保険料免除の届出は育児休業等取得者申出書とは?で、復職後の見直しである本記事の届出とは別物です。

対象になる条件(3歳未満の子・1等級以上の差・17日・本人の申出)

日本年金機構の案内では、育児休業等(育児休業と、育児休業に準ずる休業)の終了日に満3歳未満の子を養育している被保険者が、次の条件を満たす場合に改定できます。条文(厚生年金保険法第23条の2、健康保険法第43条の2)も、事業主を経由して申出をしたときに改定すると定めています。

  • 育児休業等の終了日に3歳未満の子を養育している:育児休業そのものだけでなく、育児・介護休業法に準ずる措置による休業も「育児休業等」に含まれます。
  • 改定前後で標準報酬月額に1等級以上の差がある:育休終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬の平均から算出した標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額を比べます。
  • 支払基礎日数が17日以上の月が少なくとも1か月ある:特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上です。17日未満の月は平均に入れません。
  • 被保険者本人が事業主に申し出ている:届書には被保険者の申出欄があり、記入例では「申出します」の□にチェックを入れるよう案内されています。事業主が勝手に出す届出ではありません。

パート(短時間就労者)の支払基礎日数は、3か月のいずれも17日未満の場合に限り、15日以上17日未満の月の報酬の平均で算定すると機構が案内しています。また、厚生年金保険の70歳以上被用者にも、同じ届書の「70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届」の欄を使います。

提出できないケース(産前産後休業が続くとき)

条文には但し書きがあり、育児休業等終了日の翌日に産前産後休業を開始している被保険者は、育休終了時改定の対象外です(厚生年金保険法第23条の2第1項ただし書、健康保険法第43条の2第1項ただし書)。日本年金機構の詳細説明も「育児休業等を終了した日の翌日に引き続いて産前産後休業を開始した場合は提出できません」としています。逆に、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始する場合は産前産後休業終了時改定が出せません(第23条の3第1項ただし書)。第2子の産休・育休が続くときは、どの休業が終わった時点で出せるかを復職日ごとに確認します。

状況扱い根拠
育休が終わった翌日から通常勤務に復帰育休終了時改定の対象になりうる(ほかの条件を満たす場合)厚年法第23条の2・機構ページ
育休が終わった翌日に、次の子の産前産後休業が始まる育休終了時改定は出せない厚年法第23条の2第1項ただし書・機構の詳細説明
産前産後休業が終わった翌日に育児休業等が始まる産前産後休業終了時改定は出せない(育休が終わった時点で育休終了時改定を検討)厚年法第23条の3第1項ただし書
復職日が月の途中で、その月の支払基礎日数が17日未満その月を除いて、残りの月の平均で算定する厚年法第23条の2・機構ページ
3か月とも17日未満要件(少なくとも1か月は17日以上)を満たさず原則対象外。ただし短時間就労者(パート)は、15日以上17日未満の月の報酬の平均で算定する取り扱い機構ページ

条文は、平均に入れる期間を「育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間」に限るとも定めています。3か月の途中で退職・転籍する場合の扱いは公式ページに個別の説明がないため、管轄の年金事務所に確認してください。

改定される月と適用期間(復職月から数えて4か月目)

標準報酬月額が変わるのは、育休終了日の翌日が属する月から数えて4か月目です。機構の例では、その月が4月なら7月から改定されます。

育休終了日翌日が属する月(起点)平均に使う3か月改定される月(4か月目)改定後の標準報酬月額の適用
3月31日(4月1日復職)4月4月・5月・6月7月改定した年の翌年8月まで(7〜12月に改定されるため)
9月30日(10月1日復職)10月10月・11月・12月翌年1月改定した年(翌年)の8月まで(1〜6月に改定されるため)
12月31日(1月1日復職)1月1月・2月・3月4月改定した年の8月まで(1〜6月に改定されるため)

適用期間は条文の定めどおりで、1〜6月に改定された場合は当年の8月まで、7〜12月に改定された場合は翌年の8月までです。その間に再び随時改定などがなければ、同じ標準報酬月額が各月に適用されます。8月が過ぎた9月からは、その年の算定基礎届で決まる標準報酬月額に切り替わるため、算定基礎届とは?対象者・提出期限・支払基礎日数17日ルールの時期とあわせて確認します。

計算例(3か月の平均から標準報酬月額を求める)

標準報酬月額は、3か月の報酬の平均額を条文の等級表(厚生年金保険法第20条・健康保険法第40条)に当てはめて決めます。次の2例は、当サイトが条文の等級表で試算した目安です。20〜30万円台の区分金額は健康保険と厚生年金保険で同じで、等級番号だけ健康保険が3つ大きくなります(例:30万円は健康保険第22級・厚生年金保険第19級)。

項目例1:時短勤務で大きく下がった例2:随時改定では拾えない小さな低下
育休前の標準報酬月額30万円(健保22級・厚年19級)26万円(健保20級・厚年17級)
育休終了日・復職日3月31日・4月1日(基礎日数は3か月とも17日以上)3月31日・4月1日(基礎日数は3か月とも17日以上)
4月・5月・6月の報酬238,000円・242,000円・240,000円240,000円・236,000円・232,000円
3か月の平均720,000円÷3=240,000円708,000円÷3=236,000円
当てはまる区分23万円以上25万円未満=標準報酬月額24万円(健保19級・厚年16級)23万円以上25万円未満=標準報酬月額24万円(健保19級・厚年16級)
等級差3等級(22級→19級)1等級(20級→19級)
育休終了時改定対象。7月から24万円(翌年8月まで)対象。7月から24万円(翌年8月まで)
随時改定の場合(参考)固定的賃金の変動があれば対象(3等級差)2等級以上の差がないため対象外

例2は、時短勤務で基本給が下がっても等級差が1つだけの場合です。随時改定の要件(2等級以上)には届かないので、育休終了時改定の申出をしなければ、次の定時決定(算定基礎届)で見直されるまで、育休前の26万円のまま保険料を払い続けることになります。実際の標準報酬月額は、日本年金機構・健康保険の保険者が決定します。

提出の流れ(申出→事業主が届出・提出先と方法)

  • 提出者:被保険者からの申出を受けた事業主です。届書は「健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届」の1枚で、社会保険労務士の記載欄があります。
  • 提出時期:機構の案内は「速やかに」で、日数の定めはありません。標準報酬月額が変わるのは4か月目なので、3か月分の報酬が確定したら早めに出します。
  • 提出先と方法:事務センターまたは管轄の年金事務所に、電子申請・郵送・窓口持参で提出します。
  • 添付書類:原則不要です。申請者(被保険者本人)以外の方が電子申請を行う場合は、原則として申請者と代理の方双方の電子署名が必要で、事業主を代理とする委任状を画像ファイルで添付する方法もあります(機構の案内)。
  • 届書に書く内容:被保険者の氏名・生年月日、子の氏名・生年月日、育児休業等の終了年月日、育休終了日の翌日が属する月から連続する3か月の給与支払月・基礎日数・通貨と現物の報酬額(総計・平均額)です。基礎日数は、月給者は暦日数、日給者は出勤日数を書き、欠勤控除がある場合は就業規則等で定めた日数から欠勤日数を引いた日数を書くよう記入例に示されています。現物給与(食事・住宅・通勤定期券など)は金銭に換算して記入します。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(別の申出)

復職後に標準報酬月額が下がった場合は、「養育期間標準報酬月額特例申出書」も併せて検討できます。こちらは将来の年金額の計算だけに関わる別の申出で、育休終了時改定とは目的が違います。

比べる点育休終了時報酬月額変更届養育期間標準報酬月額特例申出書(みなし措置)
何を変えるか標準報酬月額そのもの(保険料の基礎)を4か月目から改定する年金額の計算で、養育期間中の標準報酬月額を従前の高い額とみなす(厚生年金保険法第26条)
対象の子休業等に係る3歳未満の子3歳に満たない子(子が3歳に達した時などで終了)
申出被保険者が事業主を経由して申出被保険者は事業主を経由して申出(同条)
さかのぼりさかのぼらない(条文が4か月目からの適用と定めている)申出月の前月までの2年間分まで(条文)

機構の案内では、この措置は「養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置」とされています。復職時の面談で、育休終了時改定とあわせて本人に説明しておくと申出漏れを防げます。

よくある質問

Q. 復職後に時短勤務で報酬が下がったとき、随時改定だけで足りますか?
A. 随時改定は、固定的賃金の変動・2等級以上の差・支払基礎日数の3要件がすべて必要です。育休終了時改定は固定的賃金の変動が要らず、1等級の差から対象になります。小さく下がったケースは、後者のほうが拾いやすい手続きです。

Q. 本人が申し出なければ、事業主が出さなくてもよいのですか?
A. この届出は被保険者の申出を受けて事業主が提出する建付けです(条文・機構ページ)。申出がなければ改定されませんが、標準報酬月額は育休前のままになるため、復職する従業員に制度を説明しておくことが実務上は重要です。

Q. 提出期限はいつまでですか?
A. 機構の案内上は「速やかに」で、日付の明記はありません。標準報酬月額が変わるのは4か月目なので、3か月分の報酬が確定したら早めに出す、と考えると実務上は動きやすくなります。

Q. 育児休業等取得者申出書や終了届とは何が違いますか?
A. 取得者申出書は育休中の保険料免除のための届出、終了届は育休を予定より早く終えたときの届出です。育休終了時報酬月額変更届は、復職後の報酬の変化にあわせて標準報酬月額を見直す届出で、保険料免除とは関係がありません。

コモカンでの管理

コモカンのプリセットは算定基礎届・労働保険年度更新・賞与支払届・36協定・入社・退社・育児休業給付金の初回申請・労災の8種で、育児休業等終了時報酬月額変更届は現時点でプリセットに含めていません。届出の代行や作成も行わず、期限の目安を示すサービスです。該当する従業員が出たときは「カスタム手続き」として、手続き名に「育休終了時改定(○○様・復職4/1)」のように入れ、期限日に3か月分の報酬が確定して届書を出す目標日を入れて登録できます。期限が60日・30日・14日以内に迫ると、ログイン時のダッシュボードと期限カレンダーで段階的に表示されます(自動のメール通知はありません)。

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