2026年9月25日 ・ 読了目安 6 分
傷病手当金とは?労災との違い・待期期間3日・支給額2/3の仕組みを解説
顧問先から「従業員が私傷病で休むことになったが、労災と同じように休業補償はもらえるのか」と聞かれたことはないでしょうか。業務外の病気・ケガで働けないときに生活保障として支給されるのは労災保険ではなく、健康保険の傷病手当金です。この記事では、支給条件・待期期間の数え方・支給額の計算式・支給期間を協会けんぽの公式情報にもとづき整理し、労災の休業(補償)給付との違いも比較します。
支給には4つの条件がある
協会けんぽの公式ページによれば、傷病手当金は次の4要件をすべて満たす場合に支給されます。①業務外の事由による病気やケガの療養であること(業務上・通勤災害は労災保険の対象で傷病手当金の対象外)、②仕事に就くことができないこと、③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと(待期期間)、④休業した期間について給与の支払いがないこと(支払いがあっても傷病手当金の額より少なければ差額を支給)。
労災の休業(補償)給付との違い — 「業務上か業務外か」がすべて
労災の休業(補償)給付と傷病手当金は、待期期間3日・支給されない最初の期間があるという構造は似ていますが、適用の分かれ目は「業務上・通勤災害か、業務外か」の一点です。顧問先には、まずこの分岐を確認してもらう必要があります。
| 傷病手当金(健康保険) | 休業(補償)給付(労災保険) | |
|---|---|---|
| 対象 | 業務外の病気・ケガ | 業務上・通勤災害 |
| 待期3日間の扱い | 無給でも公休日でもよい(給与支払いは関係ない) | 業務災害は事業主が平均賃金60%を支払う義務(労基法第76条) |
| 4日目以降の支給額目安 | 標準報酬月額平均の30分の1 × 2/3 | 給付基礎日額の60%+休業特別支給金20%(合計目安80%) |
| 支給期間の上限 | 通算1年6か月 | 治るまで(1年6か月経過かつ一定障害で傷病年金に切替) |
待期期間3日間 — 有休・土日祝日もカウントされる
待期期間は「仕事を休んだ日から連続して3日間」で、この間に有給休暇や土日・祝日等の公休日を挟んでも待期日数に算入されます。逆に、休んだ日が連続していなければ待期は成立しません。たとえば2日間休んで3日目に出勤した場合、その2日間は待期完成前としてリセットされ、あらためて連続3日間の休業が必要になります。待期が完成した4日目以降の休業日について傷病手当金が支給されます。
支給額の計算式 — 標準報酬月額平均の30分の1×2/3
1日あたりの支給額は、支給開始日以前の直近12か月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の、3分の2です。式にすると次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3 |
| 計算例 | 平均標準報酬月額26万円の場合:26万円 ÷ 30 × 2/3 = 1日あたり約5,780円 |
支給期間は通算1年6か月(令和4年1月改正)
支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月です。令和4年1月の制度改正より前は「支給開始日から暦で1年6か月」だったため、途中で復職して手当金の支給が止まった期間もそのまま経過月数に含まれていました。改正後は実際に支給を受けた日数だけを通算するようになり、復職期間をはさんでも受給できる残り日数が目減りしにくくなっています。
請求権の時効は2年 — 起算日は「休んだ日ごと」
傷病手当金を受け取る権利には、健康保険法第193条にもとづく2年の消滅時効があります。労災の休業(補償)給付と同じく2年ですが、傷病手当金は1日単位で請求権が発生する給付のため、時効の起算日も労務不能であった日ごとにその翌日からとされています(複数の健康保険組合・社労士事務所の実務解説が一致)。まとめて長期間分を請求しようとしても、休んだ日が古い分から順に時効消滅していく点に注意が必要です。
傷病手当金の実務でよくある悩み
- 労災と傷病手当金のどちらで申請すべきか迷う:分かれ目は「業務上・通勤災害か業務外か」の一点。誤って労災扱いで進めると後で切り替えが必要になる。
- 待期3日間が「連続していない」ことに気づかず申請してしまう:出勤日を1日挟むと待期がリセットされ、あらためて連続3日間の休業が要る。
- 復職と再休業を繰り返すケースで支給期間の残りが分からなくなる:令和4年1月以降は「実際に支給を受けた日数」の通算のため、暦の経過年月だけでは残り期間を判断できない。
よくある質問
Q. 私傷病で休んだ従業員は、最初の3日間から傷病手当金がもらえますか?
A. いいえ。最初の連続3日間は待期期間で支給されません。傷病手当金が支給されるのは待期完成後の4日目以降の休業日からです。
Q. 業務中のケガで休んだ場合も傷病手当金の対象になりますか?
A. いいえ。業務上・通勤災害によるケガや病気は労災保険の休業(補償)給付の対象で、傷病手当金(健康保険)の対象外です。労災の休業(補償)給付をご確認ください。
コモカンでの管理
コモカンは入社・退社・育休・労災といった随時手続きの期限管理を主な対象としており、傷病手当金の請求(健康保険組合・協会けんぽへの申請)そのものの自動生成は現時点で対象にしていません。ただし、顧問先ごとの休業開始日・待期完成日・支給期間の残り日数はメモ管理の対象にできるため、労災か傷病手当金かの切り分けを含めて手続き状況を一元管理する用途で利用できます。
関連する手続き
- 労災の休業補償給付とは?待期期間3日・給付率の仕組みをわかりやすく解説(業務上・通勤災害の場合はこちら。傷病手当金との分岐点の全体像)
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出典・確認日
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