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2026年10月14日 ・ 読了目安 6 分

労働関係書類の保存期間は何年?賃金台帳・雇用保険・労災・社会保険の一覧と起算日(5年・3年・2年)

労働者名簿・賃金台帳・出勤簿など労働基準法の書類は、条文上は5年保存ですが、附則で「当分の間」3年に読み替えられています(労働基準法第109条・附則第143条第1項)。雇用保険の書類は2年(被保険者に関する書類は4年)、労災保険の書類は3年、健康保険・厚生年金保険の書類は2年です。数え始める日は書類ごとに違い、労働者名簿は退職・死亡・解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日からです。

本記事は一般的な制度の目安を紹介するものであり、法的助言ではありません。個別の顧問先における保存期間の扱いは、必ず条文・厚生労働省の公式情報、または所轄の労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所でご確認ください。

労働関係書類の保存期間の一覧(法令別)

書類保存期間数え始める日(起算日)根拠
労働者名簿5年(当分の間3年)労働者の死亡・退職・解雇の日労働基準法第109条・附則第143条第1項、同法施行規則第56条第1項第1号
賃金台帳5年(当分の間3年)最後の記入をした日(賃金の支払期日がそれより遅いときは支払期日)同上・施行規則第56条第1項第2号・第2項
雇入れ・退職に関する書類5年(当分の間3年)労働者の退職または死亡の日同上・施行規則第56条第1項第3号
災害補償に関する書類5年(当分の間3年)災害補償を終わった日同上・施行規則第56条第1項第4号
出勤簿・タイムカードなど労働時間の記録、その他賃金・労働関係の重要な書類5年(当分の間3年)その完結の日(出勤簿・タイムカード等は最後の記載がなされた日。賃金の支払期日がそれより遅いときは支払期日)同上・施行規則第56条第1項第5号・第2項、基発0120第3号
年次有給休暇管理簿5年(当分の間3年)有給休暇を与えた期間の満了後労働基準法施行規則第24条の7・第71条
雇用保険に関する書類2年その完結の日雇用保険法施行規則第143条
雇用保険の被保険者に関する書類4年その完結の日雇用保険法施行規則第143条(括弧書き)
労災保険に関する書類3年その完結の日労働者災害補償保険法施行規則第51条
労働保険料の申告・納付など徴収法による書類(年度更新の申告書など)3年その完結の日労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第72条
健康保険に関する書類2年その完結の日健康保険法施行規則第34条
厚生年金保険に関する書類2年その完結の日厚生年金保険法施行規則第28条
健康診断個人票5年条文は起算日を定めていない労働安全衛生規則第51条
安全委員会・衛生委員会などの議事の記録3年委員会の開催の都度記録して保存労働安全衛生規則第23条第4項

「完結の日」は、雇用保険・労災・健康保険・厚生年金保険のどの規則にも定義が置かれていません。届出などの手続が終わった日を基準に台帳へ入れておけば、迷いません。雇用保険の「被保険者に関する書類」にあたる範囲も条文には列挙がないため、判断に迷う書類は4年で保管しておくと確実です。

労働基準法施行規則第71条は、年次有給休暇管理簿のほか、裁量労働制・高度プロフェッショナル制度に関する記録や労使委員会の議事録などの保存についても、同じ「当分の間3年」の読み替えを置いています。

「5年(当分の間3年)」とは?賃金の時効との関係

労働基準法第109条は、労働者名簿・賃金台帳・雇入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類を「五年間」保存すると定めています。ところが附則第143条第1項が「当分の間、同条中『五年間』とあるのは『三年間』とする」としているため、現在の実務上の最低ラインは3年です。

背景は賃金請求権の時効です。厚生労働省のQ&Aによると、保存期間は従来3年でしたが、民法改正(令和2年4月1日施行)に伴って賃金の時効が5年に延長されたため、書類の保存期間も5年になりました。ただし賃金の時効に「当分の間」3年とする経過措置が置かれたため、書類の保存期間も「当分の間」3年になっています。

請求権時効根拠
賃金(退職手当を除く)本則は5年、当分の間は3年労働基準法第115条・附則第143条第3項
退職手当(退職金)5年同上
災害補償その他の請求権(賃金を除く)2年労働基準法第115条

「当分の間」に終期は条文上書かれていません(2026-10-14にe-Gov法令検索の現行条文で確認)。本則は5年のため、顧問先の社内ルールを5年で統一しておけば、将来「当分の間」が外れても保存期間を変えずに済みます。厚生労働省のQ&Aも、退職金の時効が5年であることや時効が更新されることから、実際には3年を超えて書類を保管する必要が出ることも多いとしています。

起算日の数え方(計算例)

保存期間は書類を作った日からではなく、上の表の起算日から数えます。次の3例は、条文の規定を当てはめた本記事の計算です(月単位の目安・3年保存の場合)。

書類と状況起算日保存期限の目安(5年なら2年延長)
労働者名簿:2026年9月30日に退職した従業員退職の日(2026年9月30日)2029年9月まで
賃金台帳:2026年10月25日に支払う9月分(記入も10月25日)最後の記入をした日(2026年10月25日)2029年10月まで
タイムカード:9月分(最後の記載は9月30日)、賃金の支払期日は10月25日賃金の支払期日(2026年10月25日)。最後の記載日より支払期日のほうが遅いため(施行規則第56条第2項)2029年10月まで

3行目がつまずきやすい点です。出勤簿・タイムカードは「最後の記載がなされた日」から数える扱い(基発0120第3号)ですが、賃金の支払期日がそれより遅いときは支払期日から数えます。月末締め翌月払いの会社では、締め日ではなく支払日が起算日になります。なお基発0120第3号は2020年の法改正前の通達で、本文に「3年間保存」と書かれているのは当時の条文に基づく記載です。

顧問先に確認しておきたいこと

  • 3年と5年のどちらで運用するか:条文上の最低ラインは3年ですが、本則は5年です。顧問先の社内ルールとして決めて、保管台帳に明記します。
  • 退職金規程があるか:退職手当の請求権の時効は5年です。退職者の関係書類は、賃金台帳の3年で機械的に廃棄しない運用が安全です。
  • 退職者の書類を退職日基準で一覧にできているか:労働者名簿は退職・死亡・解雇の日から数えます。賃金台帳は最後の記入をした日からなので、起算日が書類ごとに違います。
  • 日雇いの労働者がいるか:労働者名簿は日日雇い入れられる者を除く労働者について作ります(労働基準法第107条)。賃金台帳は、日々雇い入れる人(1か月を超えて引き続き使用する人を除く)については様式第21号で作ります(施行規則第55条)。
  • 代行した手続の控えを誰が保管するか:各条文が保存義務者として名指しするのは使用者・事業主・事業者(雇用保険・労災・労働保険料の書類は労働保険事務組合も)で、社会保険労務士は挙げられていません。控えを事務所と顧問先のどちらが保管するかは、顧問契約で決めておくと混乱しません。

よくある質問

Q. 出勤簿やタイムカードも賃金台帳と同じ期間ですか?
A. 同じです。基発0120第3号は、出勤簿・タイムカード等の労働時間の記録を、労働基準法第109条の「その他労働関係に関する重要な書類」に当たるとしています。保存期間は労働者名簿・賃金台帳と同じ「5年(当分の間3年)」です。

Q. 雇用保険の書類は2年と4年のどちらですか?
A. 原則2年で、被保険者に関する書類は4年です(雇用保険法施行規則第143条)。雇用安定事業・能力開発事業に関する書類と、徴収法やその施行規則による書類(労働保険料の申告など)は、この条文の対象から除かれています。

Q. 保存期間が過ぎたら、すぐ廃棄してよいですか?
A. 条文が定めるのは保存しなければならない最低期間で、廃棄の手順までは定めていません。厚生労働省のQ&Aは、退職金の時効が5年であることや時効が更新されることを理由に、実際には3年を過ぎても書類が必要になる場面があるとしています。

Q. 労働保険事務組合の帳簿は何年ですか?
A. 労働保険徴収法施行規則第72条は書類を3年としたうえで、同規則第68条第3号の帳簿(雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿)だけを4年としています。事業主が備える書類ではなく、労働保険事務組合が備える帳簿の例外です。

コモカンでの管理

コモカンは届出や手続きの期限を管理するサービスで、書類の保存期間や廃棄期限を管理する専用の機能は現時点で用意していません。退職者の書類の廃棄時期を管理したい場合は、カスタム手続きとして「○○さん 賃金台帳 保存期限」などの名前で登録し、期限日に上の表で計算した保存期限の日付を入れてください。期限日に対して60/30/14日前の段階アラートが表示されます。届出の代行や書類の保管は行わず、期限の目安を示すサービスです。

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