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2026年10月19日 ・ 読了目安 7 分

就業規則の届出とは?常時10人以上で必要・変更したときも届出・意見書と過半数代表者の選び方を解説

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場ごとに作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出ます(労働基準法第89条)。記載事項を変更したときも同じ届出が必要です。届出には、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を記した書面(意見書)を添付します(同法第90条第2項)。効力は労働者に周知された時期以降に生じると解されており(厚生労働省)、周知は同法第106条の義務です。届出・意見聴取・周知を怠ると、30万円以下の罰金の対象です(同法第120条第1号)。

本記事は一般的な制度の目安を紹介するものであり、法的助言ではありません。個別の顧問先・個別の就業規則の扱いは、必ず条文・厚生労働省の公式情報、または管轄の労働基準監督署でご確認ください。

就業規則の届出が必要な場面(早見表)

場面届出根拠
常時10人以上の労働者を使用する事業場が、就業規則を作成した必要。所轄の労働基準監督署長に届け出る労基法 第89条
就業規則の記載事項を変更した必要。作成のときと同じ届出をする労基法 第89条(後段)
事業場の労働者が常時10人以上になった遅滞なく届け出る労基法施行規則 第49条第1項
常時10人未満の事業場第89条の届出義務の対象外(条文の対象は「常時十人以上」)労基法 第89条
賃金規程・育児介護休業規程など、本体とは別の規程を作った・変えた就業規則の一部になるため、届出が必要厚労省 モデル就業規則の解説(第6章・第28条)
営業所・店舗が複数ある事業場ごとに作成・届出。条件を満たせば、本社所轄の労働基準監督署長を経由して一括で届出もできる厚労省 モデル就業規則の解説

届出先は事業場を管轄する労働基準監督署です。届出の義務は事業主(使用者)にあり、社労士が顧問先から依頼を受けて作成や届出を手伝う場合も、顧問先の事業場ごとに人数と届出状況を押さえておくと漏れを防げます。

「常時10人以上」の数え方(事業場単位・計算例)

人数は企業全体ではなく、事業場ごとに数えます。厚生労働省は、1企業が2以上の営業所・店舗などを持つ場合、企業全体の労働者の数を合計するのではなく、それぞれの営業所・店舗などを1つの事業場としてとらえ、常時使用する労働者が10人以上の事業場について就業規則の作成義務が生じると説明しています。次の3行は、この説明を当てはめた本記事の計算例です。

事業場常時使用する労働者就業規則の作成・届出(第89条)
本社12人対象(10人以上)
A支店6人対象外(10人未満)。企業全体は29人でも、事業場ごとに数える
B店11人対象(10人以上)

数える対象の「労働者」は、労働基準法第9条で「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定められています。雇用形態の限定はないため、パート・アルバイトも数に入るのが基本です(第9条の定義を当てはめた本記事の読みです)。

「常時」の意味(繁忙期だけ一時的に10人を超える場合など)は、本記事で確認した条文・厚生労働省の資料には明記がありません。人数が10人の前後で行き来する顧問先は、管轄の労働基準監督署に確認してください。

届出までの流れ(5ステップ)

  1. 1就業規則を作成・変更する:記載事項は下の表のとおりです。内容は法令や、その事業場に適用される労働協約に反してはならず、反する場合は行政官庁が変更を命じることができます(労基法第92条)。
  2. 2労働者の代表の意見を聴く:その事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます。作成のときも変更のときも必要です(労基法第90条第1項)。
  3. 3意見書をつくる:意見を記した書面を、届出に添付します(労基法第90条第2項)。労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければなりません(労基法施行規則第49条第2項)。
  4. 4所轄の労働基準監督署長に届け出る:就業規則の届出は電子申請でも行えます(厚労省 モデル就業規則の解説)。
  5. 5労働者に周知する:常時各作業場の見やすい場所へ掲示・備え付ける、書面を労働者に交付する、電子データで記録して各作業場に常時確認できる機器を置く、のいずれかの方法です(労基法第106条第1項、同法施行規則第52条の2)。

厚生労働省は、就業規則は作成したり労働者の代表から意見を聴いたりしただけでは効力が発生しないと解されており、効力の発生時期は周知された時期以降(施行期日があればその日)と説明しています。届出の有無が効力にどう影響するかは、確認した資料に明記がなかったため、本記事では触れません。

意見書と過半数代表者(選び方の要件)

労働者の過半数を代表する者は、労働基準法施行規則第6条の2で、次のどちらにも当てはまる人と定められています。

要件内容(第6条の2第1項)
① 管理監督者でない労働基準法第41条第2号の「監督又は管理の地位にある者」ではないこと
② 民主的な方法で選ばれている代表者を選ぶ目的を明らかにして行う投票・挙手などの手続で選ばれ、使用者の意向に基づいて選ばれた人ではないこと
  • 管理監督者に当たらない労働者がいない事業場では、①は求められず、②だけが要件です(同条第2項)。
  • 使用者は、労働者が過半数代表者であること、なろうとしたこと、正当な行為をしたことを理由に不利益な取扱いをしてはならず、事務を円滑に行えるよう必要な配慮をしなければなりません(同条第3項・第4項)。
  • 条文が求めているのは「意見を聴くこと」と「意見を記した書面の添付」で、同意を得ることまでは書かれていません(条文の読みです)。

就業規則に書くこと(記載事項)

労働基準法第89条は、記載事項を次のように定めています。厚生労働省は、必ず書く事項を「絶対的必要記載事項」、その定めをする場合に書く事項を「相対的必要記載事項」と呼んでいます。

区分記載事項(第89条の号)
必ず書く(第1号〜第3号)始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の就業時転換(第1号)/賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給(第2号)/退職に関する事項(解雇の事由を含む)(第3号)
定めをする場合に書く(第3号の2〜第10号)退職手当(第3号の2)/臨時の賃金等・最低賃金額(第4号)/食費・作業用品などの負担(第5号)/安全・衛生(第6号)/職業訓練(第7号)/災害補償・業務外の傷病扶助(第8号)/表彰・制裁の種類と程度(第9号)/その事業場の労働者すべてに適用される定め(第10号)

賃金や育児・介護休業に関する事項は、就業規則の本体とは別の規程にすることもできます。ただし別に定めた規程も就業規則の一部になるため、作成・変更のたびに所轄の労働基準監督署長への届出が必要です(厚労省 モデル就業規則の解説)。「賃金規程だけ直したから届出は不要」とはなりません。

変更するときの注意(労働契約法)

  • 手続は労基法のまま:就業規則の変更の手続は、労働基準法第89条(届出)と第90条(意見聴取・意見書)によります(労働契約法第11条)。
  • 不利益変更は周知と合理性が要る:変更で労働条件を変える場合、変更後の就業規則を労働者に周知させ、変更が不利益の程度・必要性・内容の相当性・労働組合等との交渉の状況などに照らして合理的であることが求められます(労働契約法第10条)。厚生労働省も、不利益に変更する場合は代表者の意見を十分に聴き、理由と内容が合理的になるよう慎重に検討することを求めています。
  • 基準に達しない契約は無効:就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分が無効になり、就業規則の基準が適用されます(労働契約法第12条)。

届出をしない・周知しないとどうなる?(罰則)

労働基準法第89条(作成・届出)、第90条第1項(意見聴取)、第106条(周知)の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられます(第120条第1号)。変更の届出の期限日数を定めた条文は、本記事で確認した範囲(労基法第89条・労基法施行規則第49条)には見当たりません。「常時10人以上になったとき」の最初の届出だけが「遅滞なく」と明記されています。

顧問先に確認しておきたいこと

  • 事業場ごとの常時使用人数(パート・アルバイトを含む)。10人に近い事業場は、採用のたびに数え直す。
  • 現行の就業規則と、別規程(賃金規程・育児介護休業規程など)の一覧。どれを、いつ届け出たか。
  • 直近の届出の控え(電子申請なら到達の記録)と、そのとき添付した意見書。
  • 過半数代表者をどう選んだかの記録(投票・挙手など)。管理監督者が代表者になっていないか。
  • 周知の方法(掲示・書面交付・電子データ)。従業員が実際に見られる状態か。

上の5点は、条文の要件を顧問先で点検するための実務上の目安であり、法令が求める書類リストではありません。

よくある質問

Q. 従業員が10人未満でも届出は必要ですか?
A. 労働基準法第89条の届出義務は「常時十人以上の労働者を使用する使用者」が対象です。10人未満の事業場は、この条文の届出義務の対象外です。

Q. パートやアルバイトも人数に入りますか?
A. 労働基準法第9条の「労働者」は、職業の種類を問わず賃金を支払われる者とされており、雇用形態の限定がありません。パート・アルバイトも数に入るのが基本です(本記事の読み。迷う場合は管轄の労働基準監督署へ)。

Q. 変更の届出は、いつまでに出せばいいですか?
A. 確認した条文には日数の定めがありません。効力は周知された時期以降と説明されているため、変更内容の周知と届出は並行して進めるのが安全です。期限の目安は管轄の労働基準監督署に確認してください。

Q. 36協定を出していれば、就業規則の届出は不要ですか?
A. 別の届出です。36協定は時間外・休日労働に関する労使協定の届出(労基法第36条)、就業規則の届出は第89条の手続で、両方が必要になる事業場があります。

Q. 支店ごとに同じ就業規則を届け出ないといけませんか?
A. 支店・店舗の就業規則が変更前も変更後も本社の就業規則と同一の内容である場合に限り、本社所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して一括で届け出ることができます(厚労省 モデル就業規則の解説)。

コモカンでの管理

コモカンは届出や手続きの期限を管理するサービスで、届出の代行や労働基準監督署への提出は行いません。「就業規則の届出」という名前のプリセットは、現時点ではありません。就業規則の変更届は法令に日数の定めがないため、カスタム手続き(項目名の例に「就業規則変更届」が出ます)として追加し、期限日には事務所と顧問先で決めた目標日(変更の施行日の前など)を入れてください。期限日に対して60/30/14日前の段階アラートが表示されます。

手続きを作る際の必要書類の枠に「変更後の就業規則」「意見書」「過半数代表者の選出記録」などを追加すると、依頼を受けた顧問先が画像(JPEG・PNG・HEIC)、PDF、Word・Excel・PowerPointなどで送れます。手続きが完了して60日がたつと、受け取ったファイルの実体は自動で削除されます。マイナンバーを預かる機能はありません。

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