2026年9月18日 ・ 読了目安 6 分
労災の休業補償給付とは?待期期間3日・給付率の仕組みをわかりやすく解説
労災で従業員が休業したとき、顧問先から「いつから、いくら給付されるのか」を聞かれて即答できるでしょうか。休業(補償)給付には発生から3日間の「待期期間」があり、労災保険からの支給が始まるのは4日目からです。この記事では、待期期間の考え方・給付率の目安・請求権の時効2年を、厚生労働省の公式情報にもとづき整理します。
休業(補償)給付は「療養中・働けない・賃金が出ない」が続く限り支給される
厚生労働省の公式Q&Aによれば、休業(補償)等給付は「①業務災害・通勤災害による療養のため②労働できず③賃金を受けていない」という3つの条件を満たす期間、支給が続きます。支給が始まるのは休業の4日目からで、この状態が長引き療養開始から1年6か月を経過しても治っておらず一定の障害に該当する場合は、傷病(補償)等年金に切り替わる仕組みです。
最初の3日間は「待期期間」— 労災保険からは出ない
休業1日目から3日目までは「待期期間」と呼ばれ、この間は労災保険からの休業(補償)給付は支給されません。ただし業務災害の場合、労働基準法第76条にもとづき、この3日間は事業主が平均賃金の60%を休業補償として支払う義務を負います(通勤災害には事業主のこの義務は生じません)。「労災だから初日から労災保険が払ってくれる」という誤解が顧問先で起きやすいポイントで、待期期間中の支払い主体が労災保険ではなく事業主である点は先に伝えておくべき事項です。
給付率の目安 — 給付基礎日額の60%+休業特別支給金20%
休業4日目以降は、給付基礎日額(原則として労働基準法の平均賃金に相当する額)をもとに休業(補償)給付が支給されます。厚生労働省の公式資料および複数の社労士・弁護士事務所による実務解説では、休業(補償)給付が給付基礎日額の60%、これに上乗せされる休業特別支給金が20%とされ、両方合わせると実質的に給付基礎日額の80%相当になるという計算が一致して紹介されています。ただし本記事執筆時点で厚労省一次資料の該当箇所をテキストで直接確認できていないため、正確な料率・端数処理・スライド制による増減は労働基準監督署または厚生労働省の公式資料で必ず確認してください。
| 休業日数 | 支給主体 | 内容 |
|---|---|---|
| 1〜3日目 (待期期間) | 事業主 (業務災害のみ) | 平均賃金の60%を休業補償として支払う義務 (労働基準法第76条) |
| 4日目以降 | 労災保険 | 休業(補償)給付+休業特別支給金 (給付基礎日額ベース・目安は合計80%程度) |
労働者死傷病報告(行政への届出)とは別の手続き
休業(補償)給付は労働者本人が受け取る保険給付ですが、これとは別に、労災が発生した事業主には労働基準監督署への「労働者死傷病報告」の提出義務があります。休業4日以上・死亡の場合は「遅滞なく」(実務目安1〜2週間以内)、休業4日未満の場合は発生した四半期の翌月末日までの提出です。休業(補償)給付の請求(本人の受給権)と労働者死傷病報告(事業主の届出義務)は目的も提出先も別の手続きである点を、顧問先に混同されないよう説明する必要があります。詳しくは入社・退社・育休・労災の随時手続き期限まとめで扱っています。
請求権の時効は2年
休業(補償)給付を受ける権利には、労災保険法第42条第1項にもとづく消滅時効があります。休業(補償)給付・療養補償給付・葬祭料・介護補償給付などは権利を行使できる時から2年、障害補償給付・遺族補償給付は5年で時効消滅します。労災発生直後は治療対応に追われて請求が後回しになりがちですが、時効の起算点は各支給単位期間ごとの「権利を行使できる時」であるため、休業が長期化するケースほど早い段階からの請求が有利です。
休業補償給付の実務でよくある悩み
- 待期期間3日を労災保険が払うと誤解されている:実際は業務災害の場合に事業主が平均賃金の60%を負担する期間であり、労災保険からの支給は4日目から。
- 死傷病報告(行政への届出)と休業補償給付の請求(本人の受給権)を混同する:提出先・期限・目的が異なる別の手続きとして、顧問先ごとに両方管理する必要がある。
- 請求が長期間放置され時効に近づく:休業が長引くケースほど、支給単位期間ごとの請求権の時効(2年)を意識した早めの請求管理が必要。
よくある質問
Q. 労災で休んだ初日から労災保険がお金を払ってくれますか?
A. いいえ。最初の3日間は待期期間で労災保険からの支給はありません。業務災害の場合、この3日間は事業主が平均賃金の60%を休業補償として支払う義務を負います。労災保険からの休業(補償)給付は4日目から始まります。
Q. 休業補償給付の請求はいつまでできますか?
A. 請求権の時効は2年です(労災保険法第42条第1項)。障害補償給付・遺族補償給付は5年と異なるため注意してください。
コモカンでの管理
コモカンの労災プリセットは、事業主に提出義務がある労働者死傷病報告(休業4日未満のケース)の期限を自動計算し、60/30/14日前の段階アラートで表示します。休業(補償)給付そのものの請求(様式第8号)は、労働者本人の受給権にもとづく別の手続きのため、現時点では自動生成の対象にしていません。死傷病報告の進行管理に加えて、休業補償給付の請求状況は別途手続きとして追加登録しておくと、顧問先ごとの抜け漏れを防ぎやすくなります。
関連する手続き
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出典・確認日
- ・厚生労働省「3-1 休業(補償)等給付はいつまでもらえるのですか。」
- ・厚生労働省 労働政策審議会資料「労災保険法第42条第1項 (給付請求権の消滅時効)」
- ・厚生労働省 和歌山労働局「労働者死傷病報告」提出案内
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